入院・介護

【親・夫・妻が倒れた時】高齢者の入院費用について

医療費は通常のサービスのように価格が明示されていて選んで購入するものではないので、請求書がくるまでどの程度必要なのか、支払いにどのくらい用意すればよいのかがわからず心配にになりますよね。

医療費の自己負担額は年齢と所得によって同じ治療を受けていても違いがあります。

そして、保険診療の範囲内であれば、医療費は「高額療養費制度」によって「自己負担限度額」が定められているため、限度額を超えた場合は払い戻しが行われます。
また入院時の食事代についても、一律に定められた「標準負担額」を超える費用については「入院時食事療養費」として支給されます。

一方、保険診療の医療費以外の部分については補助はありません。
保険のきかない先進医療を選択した場合の費用、差額ベッド代おむつ代などの費用は医療費とは別に必要になります。

また、病院から請求される費用以外に、見舞いの家族の交通費などもかかります。

入院した場合にかかる費用

保険診療医療費 自己負担限度額を超過する金額については、「高額療養費」として加入保険より支給され、負担が軽減されます(申請が必要です)
年齢・所得区分によって自己負担限度額が異なります。以下の表をご覧ください。
食事代 1食あたり460円×1日3食☓日数分(低所得者については金額が異なります)
先進医療代 保険適用外の先進医療については「高額療養費制度」の適用範囲外です。
差額ベッド代 大部屋ではなく1〜4人の部屋の場合の差額ベッド代は保険適用外の費用になり、それぞれの病院によって請求額は異なります。一日あたりの平均差額ベッド代は6,000円強とのことで、高額な個室も多く、全額自己負担のため、負担が大きくなります。医療費よりも高くなることも多いです。
おむつ・レンタル寝間着代・テレビ代等 おむつなどの消耗品や、寝間着やタオルをレンタルする場合のレンタル代、テレビ視聴が有料カードなどの場合の視聴料金など、その他の費用がかかります。
診断書代 保険会社への請求や転院の際に「診断書」が必要な場合、全額自己負担になります。病院によって料金が異なります。

保険診療医療費の1ヶ月の負担限度額

年齢 年収目安 医療費の負担割合 外来(個人ごと)の自己負担限度額 入院および世帯の自己負担限度額
69歳以下 約1,160万円以上 3割
252,600円+(10割分の医療費-842,000円)×1% (4回目以降は140,100円)
約770万〜1,160万
167,400円+(10割分の医療費-558,000円)×1% (4回目以降は93,000円)
約370万〜770万
80,100円+(10割分の医療費-267,000円)×1% (4回目以降は44,400円)
約370万以下
57,600円(4回目以降は44,400円)
住民税非課税
35,400円(4回目以降は24,600円)
70歳以上 年収約1,160万円以上 252,600円+(10割分の医療費-842,000円)×1% (4回目以降は140,100円)
約770万〜1,160万 167,400円+(10割分の医療費-558,000円)×1% (4回目以降は93,000円)
約370万〜770万 80,100円+(10割分の医療費-267,000円)×1% (4回目以降は44,400円)
一般 約156万〜370万

70〜74歳:2割

75歳以上:1割

18,000円(年間144,000円が上限) 57,600円(4回目以降は44,400円)
住民税非課税世帯 8,000円 24,600円
住民税非課税世帯(年金収入80万円以下など) 15,000円

※2018/8月からの改正基準です
ご参考
厚生労働省サイト:高額療養費制度を利用される皆様へ
厚生労働省サイト:我が国の医療保険について

70歳以上の高齢者の1ヶ月の入院費用の目安

70歳以上の高齢者の1ヶ月の入院費用の目安です。※収入は平均的な一般区分の場合です。

保険診療医療費 57,600円 一般区分の自己負担額上限
食事代 41,400円 460☓3食☓30日
先進医療代 0円 先進医療を選択しない場合
差額ベッド代 0円 大部屋の場合
おむつ・レンタル寝間着代・テレビ代等 おむつ代 30,000円

レンタルパジャマ・タオル代 12,000円

おむつ代1日目安1,000円

レンタルパジャマ・タオル代 1日目安400円

診断書等 10,000円 1枚10,000円で試算
合計 151,000円
ハナ
ハナ
母が室内での怪我により入院した際に、回復期リハビリテーション病院を探したのですが、すべて満床で順番待ちでした。そのうちの一つの病院から個室(1日7000円)であれば、空きがあるとの連絡があり、やむを得ず個室に入院し、大部屋が空いたら移していただくようにお願いしていたのですが、なかなか大部屋に空室がでず、また母よりも前に大部屋のキャンセル待ちをしていた人が優先されたため、90日間の入院でベッド代だけで70万近くが必要となってしまいました。
それでも、母の入院した病院は安い方で、1日4万円近くの個室のベッド代がかかる病院もあります。
回復期リハビリテーション病院は急性期病院よりもリハビリの時間が長いこと、回復期のリハビリがその後を左右することで、やむなく差額ベッド代を払って入院する方が多いとも聞きます。
大部屋を希望する場合はなるべく早くキャンセル待ち連絡をするなどの対応が大事になってくると思います。

日本の場合、”高額療養費制度”があるため、民間の医療保険に加入されていなくても、医療費の負担はある程度軽減されます。

70歳以上の方は、保険証と高齢受給者証を保険医療機関に提示することで、一か月分の医療費が自己負担上限額までとなります。

ただし、世帯で合算される場合や、69歳以下の方などは、申請しないと払い戻しが行われないため、心配な場合は加入保険にお問い合わせください。

”高額療養費制度”は最近見直しが続いています。
あちこちにガタがくる50代の方で、ある程度高収入なものの、お子さんが大学生などで教育費がかさむ時期に倒れると思わぬ負担になります。
ご自身のキャッシュフローや貯蓄額を把握し、時期によっては医療保険などでリスク分散することが大事です。